自然周期法とホルモン補充周期法の違いについて
採卵して凍結した受精卵を翌周期に子宮に戻すとき、「自然周期法」と「ホルモン補充周期法」と主に2種類あります。
その違いについて、体外受精をこれから始める多くの方は、あまり分かっていないようです。
「クリニックから説明を受けました」という方も少ないように思います。
その違いについてお話しします。
・自然周期法
その名前の通り、生理が始まって卵胞が育ってきて、卵胞の大きさが20ミリくらいになったら排卵します。
排卵したら、予め凍結してあった受精卵を融解し、3日目の分割胚(初期胚)の場合は排卵3日後、5日目の胚盤胞の場合は、排卵5日後に胚移植をする、というのが自然周期法です。
自力で排卵しているので、もしタイミングをとれば、ダブルで妊娠する可能性もあるはずです。
自然周期法の良い点は、薬が少なくて済む、という点だと思います。
妊娠を維持する「黄体(おうたい)ホルモン」の薬を処方するクリニックもありますが、妊娠すると同時に「薬は止めて(減らして)良いですよ」と言われるようです。
デメリットとしては、ご自身の排卵日で全ての日程が動くので「胚移植日がなかなか特定しずらい」という点かと思います。
自然周期法で妊娠を目指していた方で、胚移植予定日がちょうどクリニックの休診日と重なり、胚移植を見送り、1周期先送りした方がおられました。
・ホルモン補充周期法
自然周期法に対し、ホルモン補充周期法と言うのがあります。
女性の体は、生理が始まって間もないころに、体の外側から大量の「卵胞ホルモン(妊娠を準備するホルモン)」の薬を補ってあげると、もう卵胞は育たなくなるようです。
卵胞を育てないようにしつつ、その薬で子宮内膜を厚くしていく、ということを行います。
そして概ね子宮内膜が厚くなったところで、胚移植日が決まります。
ホルモン補充周期法の良いところは、「予め胚移植日を決められる」という点です。
大体胚移植日の1週間から10日くらい前に、「こっちの日と、こっちの日でいつが良いですか?」「○月○日以降なら、いつでも良いですよ」という言われ方をしてくるようです。
月経周期が不規則な方や、お仕事の忙しい方にとっては、とてもありがたい胚移植法だと思います。
自然周期法との最大の違いは、「卵胞を育てない」=「自力で排卵させない」という点だと思います。
本来排卵すると同時に、ご自身の体で妊娠を維持する黄体ホルモンの分泌を行うのですが、それをさせないため、全て薬で黄体ホルモンを補っていきます。
だから「ホルモン補充周期」と呼ばれます。
この場合、薬(特に黄体補充)の役割がとても重要になってきます。
胚移植日が決まり、初期胚の場合は胚移植日の3日前、胚盤胞の場合は5日前から黄体補充の薬が始まるようです。
クリニックの受付さんからも口酸っぱく「黄体補充の薬を忘れないで下さい!」と言われると思いますが、初日の服用を忘れると胚移植が中止となり、胚移植が1周期先送りとなります。
きっと「この日から始めるのが一番妊娠に繋がる」という事なんだと思います。
私も今まで3~5人程、服用を忘れて1周期先送りになった方を見てきました。
「せっかく、卵胞ホルモンの薬を補い、準備してきたのに・・・」とがっかりされています。
また妊娠判定で陽性となった後も、クリニックを卒業する頃(9~10週)までは、この薬は続きます。
とにかく薬をしっかり補ってあげないといけません。
「私は体にあまり薬を入れたくないから、自然周期が良いな」、「会社が休みの日に胚移植したいから、ホルモン補充周期が良い」等、希望が出てくるかと思います。
ここで注意しなければならないのが、全てのクリニックがこの両方の胚移植法を行うわけではありません。
どちらかというと、ホルモン補充周期のみ、ホルモン補充周期メイン、というクリニックが多いように思います。
両方同数程度扱うクリニックもあります。
自然周期のみ、というクリニックは、名古屋では思い浮かびません。
健康保険制度下でも、クリニック、ドクターによってお考え等は異なるように感じます。胚移植方法の他にも、様々な違いがあります。
そのあたりも当院へご通院いただきましたら、さらに詳しくお話できるかと思います。
自分に合ったクリニック選びも大切です。
色々と迷われている方は、ぜひ当院へお越し頂き、ご相談ください。