着床前診断が始まりました!

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2020年は、世界中が新型コロナウイルスの脅威にさらされた年になりました。
しかし、不妊治療の世界では、画期的な検査がスタートした年でもあります。

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令和2年8月18日 中日新聞より
 
着床前診断には、いくつか種類があるようで、今回は「着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)」が、2019年12月から、臨床研究として実施可能となったようです。
PGT-Aは、お腹に戻す前の受精卵に、染色体異常がないか調べ(全てが調べられるわけではないようです)、流産するリスクを減らす、というのが目的のようです。
また染色体異常が増えてくる35歳以上の方に、より効果があるともされてます。
患者様の一番近い所で見ている私としては、将来不妊治療の頂点には、このPGT-Aが君臨することになると感じています。
胚移植を何回しても着床しない方、流産を繰り返す方、年齢が高い方にとって、精神的・肉体的・時間的に大きくアシストしてくれる検査だと思います。
当院でも、2020年このPGT-Aで、6人の方がご懐妊されました。

ただ、誰でも簡単に検査に臨める、というわけではありません。
まず検査に出す受精卵は、胚盤胞でなければなりません。
またその胚盤胞の中から、妊娠できる良好胚(妊娠率約7割とされています)を見つけるためには、胚盤胞が5~10個必要とされています。
費用も1つの胚盤胞を調べるのに、5~10万円かかるとされています。
40歳代くらいになると、多くの方がAMHは1を切っており、その中で胚盤胞を5~10個貯めるのは、相当根気強く採卵を繰り返さなければなりません。
当院でPGT-Aでご懐妊された6人の方の、平均年齢は41.1歳で、平均AMHは1.5になります。
その6人の方の、検査に出した胚盤胞の総数は59個、そのうち良好胚(A判定)は、11個(約18%)です。
実際40歳代の方で胚盤胞を10個出して、かろうじて1つ見つかった方もおられました。
年齢が高めの方にとっては、非常に厳しい現実です。
また、この6人の方はPGT-Aをする前に、通常の胚移植を平均で4.8回しております。
ずっと辛い思いをされてきた方ばかりです。

しかし、良好胚さえ見つかれば、高い確率で妊娠できているいように感じています。
6人の方で、当院に通院中のPGT-Aの胚移植は、全て1回目で陽性判定をいただいております。
まだご出産された方はおられませんが、経過は皆さん順調のようです。
また5人の方は、採卵中から当院で、ずっと鍼灸をされていました。

私は、近い将来このPGT-Aが、もっと多くの病院で導入され、検査費用も下がり、手軽に検査を受けれる日が来ることを願っています。

*施術の効果には個人差があります