妊活を進める上で、乗り越えなければならない壁
女性が妊活を、進めていくうえで、自分だけではどうすることもできないことが、大きく分けて3つあると思います。
一つ目は、「ご主人の協力の問題」です。
身近で、最初にぶつかる壁かもしれません。
時々、患者さまから「なかなかタバコをやめてくれないんです」「採精前日に、飲んで帰ってきたんです」といった不満を聞くことがあります。
私からすれば、全然、問題なし!です。
最も困ることは、「病院に行ってくれない」事です。
多くのご主人は、奥様に言われるがまま、病院に行って検査を受けたりしてくれます。
でも、中には「どうしても病院に行くのが嫌だ」という方がおられます。
男女ともに、病院へ行くのが好きな方など一人もおられません。
女性は、治療のために何回かと病院に通っているのに、頑なに嫌がる男性がおられます。
そういうケースは、女性側もとても男性に気を使っておられます。
また、なかなか自然妊娠できず、ステップアップを考え始めた場合、「なるべく自然なかたちで」と、強くこだわるのもやはり男性側です。
そもそも、男性は、医療関係者でもない限り、女性の体の構造(月経のメカニズム)を、十分判っていません
私の同じ年の友人で、女性の月経は皆、満月の日に始まると思っている友人がいました(笑)
自分がタイミングを取ることを頑張れば、自然妊娠できる、と考えていたりします。
こういうケースは、女性は、少しずつご主人に、現状を伝えることから始めるべきだと思います。
「生理が来て落ち込んでいるんだ・不安なんだ」、「卵胞チェックや、注射を打つために病院へ度々通うことはとても大変なんだ」、「こういうサプリを飲んで妊娠しやすくなるよう努力しているんだ」というような事を伝えなければ、男性は「今のままで良いんだ」と、思ってしまいます。
女性のみで抱えるのではなく、共有すべきだと思います。
一気に言うと、男性側は、逆に殻にこもってしまう場合もあるので、少しずつ伝えていきましょう。
二つ目は、「経済的な問題」です。
多くの方は、自分が不妊治療をすることを想定していません。
中には、住宅ローンや車のローンを抱えたりする方もおられます。
体外受精にもなると、1回30万~60万円、場合によっては100万円近くになるケースもあります。
助成制度もありますが、それだけでは賄いきれないのが現状のようです。
私の妊活をしていた知人は、ご主人の給料で生活をし、奥さんの給料は、全部妊活につぎ込んでいる、という方がおられました。
また、働いてお金を貯めて、貯まったら体外受精をし、上手くいかなかったら、またコツコツとお金を貯めるという方もおられます。
それでも、どう考えても経済的にメドがたたないようなら「体外受精の世界」は、覗かない方がいいのかな、と思います。
三つ目は、「職場環境の問題」です。
厚生労働省は、仕事と不妊治療の両立について職場の理解を深めるためパンフレット等を作成しているようです。
「仕事と不妊治療の両立支援のために」をご覧ください。
患者さまのお話を聞いていて、現状、妊活を理解・推奨してくれる会社は、とても少ないように感じます。
当院でも多くの女性は、妊活していることを会社側に、ギリギリまで話していないようです。
最終的には、直属の上司が理解があるかどうかが鍵になってくるようです。
厚生労働省や企業は、上司となるような方への啓蒙活動が、一番のポイントなのでは?と思います。
理由を明かさず、遅刻や早退が気軽にできるようになるといいな、とも思います。
妊活される方のサポート体制が、産休や育休のように、少しでも早く整備される日が来ることを願っています。