受精卵を2個戻す方の割合について
患者さまから、時折「卵を2個戻した方がいいですか？」とか「受精卵の２個戻しを、どう思われます？」
といった質問を受けることがあります。
日本産婦人科学会では、生殖補助医療における多児妊娠防止に関する見解として、
「生殖補助医療の胚移植において、移植をする胚は原則として単一とする。ただし、３５歳以上の女性、または２回以上続けて妊娠不成立にあった女性などについては、２胚移植を許容する」
とあります。
しかしながら病院によって、原則単一胚移植しか行わない病院と、必要に応じて２個胚移植を行う病院と別れてくるようです。
双子を授かる割合は、一体どれくらいなのでしょうか？・・・
当院で令和3年1月１日から令和5年9月30日までで、２６８名の方が妊娠されています（延べ人数）
そのうち体外受精（顕微授精含）で、妊娠された方は２１９名おられます。
さらに2個胚移植して妊娠された方は、５５名（約２５％）です。
その中で双子を授かった方は、３名おられます。
2個胚移植されて双子を授かった方の割合は、約5.４% となります。
また1個胚移植をされ妊娠された方は、164名で、その中で双子を授かった方は3名となり割合としては約1.8%と、2個胚移植された方よりは低くなります。
妊娠された方全体としては、2６８名中、双子を授かった方は７名と約2.6％となり、厚労省の2017年多児出産割合の約1.04％に比べ、当院は、ほんの少し多めだったかな、と思います。
詳しくは、厚労省「多胎児支援のポイント」を、ご覧ください。
2人目妊活の方で、お1人目を帝王切開で分娩された方は、殆ど1個胚戻しを言われるようです（印象としては必須です）
あるクリニックの先生に、「卵を1つ戻した場合、妊娠の確率は20％、2つ戻した場合は30％」と言われた方がおられました。
またあるクリニックの先生に、凍結してある卵のグレードが良くないので、3つ戻したい言ったら「2つ戻すのも、3つ戻すのもあまり確率は変わらないから、2つにした方がいいですよ」と言われた方もおられました。
また、クリニックによっては「子宮は1人分」というお考えから、2個胚移植はしない、というクリニックもあるようです。
患者さま側としては、一人目妊活の方は、「双子ちゃんでも可愛いから歓迎です」という意見もよく聞きます。
しかし二人目妊活の方は、お子さんが一気に3人になることを想定されていないようで、慎重になられるようです。
参考になさってください。
