「AMHが、低いんです・・・」

- update更新日 : 2023年09月06日
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先日、初めてみえた患者さんで、病院でこう言われた方がおられました。
「このAMHの数値は、あなたの年齢より10歳くらい上の数値です」

その方は、とてもショックを受けられていました。
私に話をしてくれたときも、大変不安げな様子です。
もしかしたら病院の先生は、
「だからのんびりしていてはいけません。必要に応じてステップアップも検討してください」
と言うことが、伝えたかったのかもしれません。
ひょっとしたら病院の先生は、それをおっしゃっていたかもしれません。
言われた方が、少しパニックになり記憶に残っていない、ということなのかもしれません。
似たようなことが時折あります。

なぜ、そんなことがおこるのでしょう・・・
病院側の伝え方もあるかと思います。
一方で、こちら側の予備知識も少し足りなかったのかもしれません。

そこで、AMHについて簡単に説明したいと思います。
AMHとは、「抗ミュラー管ホルモン」といい、成長過程の卵胞の周りから分泌されるホルモンで、血中のAMHを測ると卵巣に、あとどれくらい卵子が残っているかを推測できます。
あくまで、卵子の残りの数の目安であり、卵の質、子宮環境、妊娠の可否を示すものではありません。
ただ体外受精で、卵を取り出す採卵時は、確かにAMHが高めの方の方が、たくさん取れる可能性が高い印象があります。
患者さんにとって、連日のように注射をして行なう採卵は負担であり、たとえ胚移植を何回かすることになったとしても、採卵が1回で済めば、肉体的にも経済的にも楽だと思います。
AMHが高めの方は、1回の採卵で5,6個だったり、中には10個以上取れる方もおられます。
しかしAMHの低めの方は、注射で刺激をしても取れる卵の数は、数個程度だったりします。
時には何回か採卵を繰り返して卵を貯める、ということを行なう方もいらっしゃいます。

では、AMHが低いと妊娠できないのでしょうか・・・
当院で体外受精(顕微含)で、妊娠され概ね安定期(クリニックを無事に卒業された方)に入られ、AMH2未満の方の一覧表です(91人)
AMH
を測らないクリニックも意外とあります(1~2割くらいでしょうか)
AMH
を測っていても、患者さんが覚えてない、ということもよくあります(2~3割くらいはあります)

AMHが、分かっている方で妊娠された方(安定期に入られた方)は、223人おられ、
AMH
2未満の方が、約40%を占めます。
年代別のAMH2未満の方の割合として、
29
歳まで:17%、 3034歳:25%、 3539歳:41%、 40歳以上:76%、となります。
(採血表を見させていただいた場合もありますが、基本的に患者さんの自己申告の数値になります。単位はナノグラムミリリットル)

いかがですか?
AMHが、0.1以下の方でも妊娠されています。

次に、自然妊娠(人工授精を含)の場合は、どうでしょうか?
多くの病院は、体外受精にステップアップする段階で、AMHを測るようです(特に健康保険制度が始まってから)
当院で過去に、タイミング法・人工授精で妊娠され安定期に入られた方は、114人おられます。
その中でAMHが分かっていた方は、15人です。
さらにAMH2未満の方は、5人でした。

AMH
1以下の場合は、少し早めにステップアップを検討しても良いのかな、と感じています。
半年~1年とタイミング法・人工授精をしてきて、いざAMHを測ったら、1以下だった、ということもしばしばあります。
本当は、早い段階でAMHを一度測れるようになるといいのになぁ、と思います。

また、AMHが低い方は、「すぐに閉経してしまうのでは?」と、悩まれているようです。
私は、当院へ通院中の患者さんで、閉経された方を見たことがありません。
AMH
が低いくらいで、そんなに簡単に閉経するものではないんだな、と現場では感じています。
もちろん、クリニックの先生の調整のお陰もあります。

名古屋市内の病院の先生で、当院の患者さんに「採卵では、質の良い卵が一つ取れれば、10個取れなくてもいいんです」と、言われた先生がいらっしゃいます。
まさにその通りだと思います。

最後に!
改めて申しますが、当院へ通院され妊娠された患者様の一覧表です。
当院の鍼灸が、低AMHの方の妊娠に貢献できていると自負しています!
AMHが低めな方は、ぜひ名駅きぼう鍼灸院へお越しください。

 *施術の効果には個人差があります。