「AMHが、低いんです・・・」

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先日、初めてみえた患者さんで、病院でこう言われた方がおられました。
「このAMHの数値は、あなたの年齢より10歳くらい上の数値です」

その方は、とてもショックを受けられていました。
私に話をしてくれたときも、大変不安げな様子です。
もしかしたら病院の先生は、
「だからのんびりしていてはいけません。必要に応じてステップアップも検討してください」
と言うことが、伝えたかったのかもしれません。
ひょっとしたら病院の先生は、それをおっしゃっていたかもしれません。
言われた方が、少しパニックになり記憶に残っていない、ということなのかもしれません。
似たようなことが時折あります。

なぜ、そんなことがおこるのでしょう・・・
病院側の伝え方もあるかと思います。
一方で、こちら側の予備知識も少し足りなかったのかもしれません。

そこで、AMHについて簡単に説明したいと思います。
AMHとは、「抗ミュラー管ホルモン」といい、成長過程の卵胞の周りから分泌されるホルモンで、血中のAMHを測ると卵巣に、あとどれくらい卵子が残っているかを推測できます。
あくまで、卵子の残りの数の目安であり、卵の質、子宮環境、妊娠の可否を示すものではありません。
ただ体外受精で、卵を取り出す採卵時は、確かにAMHが高めの方の方が、たくさん取れる可能性が高い印象があります。
患者さんにとって、連日のように注射をして行なう採卵は負担であり、たとえ胚移植を何回かすることになったとしても、採卵が1回で済めば、肉体的にも経済的にも楽だと思います。
AMHが高めの方は、1回の採卵で5,6個だったり、中には10個以上取れる方もおられます。
しかしAMHの低めの方は、注射で刺激をしても取れる卵の数は、数個程度だったりします。
時には何回か採卵を繰り返して卵を貯める、ということを行なう方もいらっしゃいます。

では、AMHが低いと妊娠できないのでしょうか・・・
当院で妊娠された方で、AMHが1以下の方の数値の一例です。
0.02以下/ 0.1/ 0.1/ 0.3/ 0.5/ 0.6/ 0.6/ 0.9/ 0.9
1以上ある方でも、
1.0/ 1.0/ 1.2/ 1.2/ 1.6/ 1.6/ 1.7/ 1.8
(採血表を見させていただいた場合もありますが、基本的に患者さんの自己申告の数値になります。単位はナノグラムミリリットル)

いかがですか?
AMHだけを見た場合、高くなくても、妊娠されているのが分かります。
ただ、病院はAMHだけでなく、年齢、他のホルモンの数値、子宮環境等をみて、総合的に治療方針、卵巣刺激方法を決めているようです。

名古屋市内の病院の先生で、当院の患者さんに「質の良い卵が一つ取れれば、10個取れなくてもいいんです」と、言われた先生がいらっしゃいます。
まさにその通りだと思います。

 *施術の効果には個人差があります。