総運動精子数と人工授精
名古屋市内の不妊専門クリニックに通われる方に、先日教えていただいたことがあります。
そちらのクリニックには、下記のようなポスターが掲示してあるそうです。
「総運動精子数900万(運動精子濃度×精液量)を下回って、人工授精の妊娠例はありません」
計測された期間・人数等は、判りませんが、WHOで概ね標準とされる数値を下回って、人工授精で妊娠された方は「ゼロ」だというのです。
厳しい現実に私は、とてもショックを受けました。
きっと他の病院でも同じような事がいえるのだろうな、と思いました。
最近当院で、自然妊娠された方や、人工授精で妊娠された方の記録を見直してみると、確かに病院での精液検査結果は「良好」もしくは「まだしていない」でした。
毎回基準値を大きく下回ったりしていると、体外受精や顕微受精という選択肢が濃厚になってくるのかもしれません。
病院での検査結果が良くないと、場合によっては、専門の泌尿器科などを紹介されより詳しい検査を受けることがあります。
そして生活指導や、サプリメント・漢方などの服用を勧められ、改善を図るようです。
比較的手軽なところでは、トマトジュースが精液状態の改善に効果があるという事を、患者さんに教えていただいたことがあります。
「トマトジュース」「男性不妊」等の検索キーワードで入力しますと、ある食品メーカーさんの、研究サイトが出てきます。そこに詳しいデータが出ており、リコピンが効果があるとのことです。
その方も、ご主人にトマトジュースを飲んでもらい、数値が改善傾向になった、ということがありました。
トマトジュースの例は、時折他の患者さんにお話しますが、「夫婦共に苦手です」という方もおられます(笑)。好き嫌いが分かれるところかもしれません。
精液検査の結果には、浮き沈みがあります。
「今回、初めて良かったです」とか「ギリギリだと言われました」ということを言われ、前向きにTRYされている方がたくさんおられます。
また、ご主人の体調や健康状態と、数値が必ずしも比例するとも限りません。
諦めずに続けていくことが大切だと思います。